映画を観るときはなるべく事前情報を得ずに観るのだけれど、ちらりと聞いた話で6人の役者がボブ・ディランを演じたオムニバス映画だと思っていました。が、ボブ・ディランのボの字も出てきませんでした。してやられた、って感じです。
だがそこが良い。
私もディランのアルバムを何枚かは持っているけど、そこまでディランのことを詳しく知っているわけではありません。だから素直に楽しめました、ちょいと難解だったけど。(ただし最低限は知っているほうが楽しめるのでWikipedia→ボブ・ディラン)
監督はディランの生き方にインスパイアされてこの作品を作ったらしく、過去の切り取られた(ディランの)側面を様々なキャストに演じさせて作り上げたこの作品に、今のディランはこの作品にはいないという意味を込めて“I'M NOT THERE”というタイトルをつけたのでしょうか?
最近、物事の断片は断面でしかないのだけれど、私の知らないところで、私の人物像が出来上がっていたのを友人から聞いて愕然としたので、妙に心に残るタイトルでした。